南相馬に行ってきました

福島県南相馬市鹿島地区の仮設で手帳を作るワークショップを毎年やってまして、今回は一年以上経っての再訪です。
12月とはいえ、海に面している浜通りは温かいんですよね。

今年も牛河内第三仮設の皆様と来年の手帳作り。お元気な姿を見れたり、飛び入り参加もあったりで楽しいワークショップでした。終了後、漬物とお茶を頂きました。北の方はお茶受けにお漬物が一般的なようです。どれも手作りで、酢漬けや浅漬けなど漬け方が違っていておいしい。

現在エリアに入れても宿泊はできない「避難指示解除準備区域」である小高区は、来年4月から帰還ができるようになるとのこと。とはいえ家を流されてしまった人もいるし、仮設に避難している全員がすぐ戻れるというわけではないし、特に若い世代の帰還意思は低いようです(南相馬市住民意向調査)。それでも久しぶりに行った小高地区は車の交通が増え、駅前に小さなアンテナショップ「希来(きら)」がオープンしたりと、活気づいている印象でした。

今回の再訪でよく聞いたのは、最近このあたりは治安が悪くなっているという話。
娯楽のない仮設の宿泊所で寝泊まりしている除染作業員が飲み歩いてトラブルを起こしたり、更には女性を公衆トイレの中までつけたりしているから外には出歩かない方がよいという話を耳にしました。

一方、除染作業員を客に迎えることもある原町の飲食店「歩々(ふうふう)」で聞いたのは、地元の人に悪い印象を持たれないようにと神経を削りつつ、悪者扱いされることにやりきれない思いを抱く除染作業員の姿でした。なにかトラブルがあるたびに門限が早まり、飲みに行くには(近場の原町ではなく、バスで片道2時間かかる)福島や仙台に行くようにとお達しが出ているとのこと。

この2つのイメージの違いは何なのか。
そこには最近あった寝屋川で起きた殺人事件の容疑者が除染作業員であったことも影を落としているのかもしれませんし、目的から大幅に除染作業が遅れているため、作業員の人数を増やし、仮設の宿泊所もばんばん建てていることが現地の不安感を煽っているのかもしれません。

除染作業員がその仕事を選んだ理由は人それぞれでしょう。それしか得られる職がなくて仕方なく、という場合だってあるかもしれません。でも、話を聞いた印象では被災地のためを思って義侠心で立ち上がっている人もいるようです。
除染作業員は仕事が終われば福島を離れる短期労働者であり、そこでずっと暮らしている人とは立場が全く異なります。それでも、私のようなボランティアが温かく迎えられていることを思うと、お互いのこころを慮り、うまく交流する手立てはないものなのか、と考えさせられたのでした。

 

おいしいものご紹介

とうふの味噌漬け

とうふとは思えないくらいクリーミーで濃厚な味わいが日本酒にぴったり。